実務経験を重ねる中で表題のことをよく考えることが多くなった。
実はここ数年かつて得意であった財務会計中心とした業務だけでなく
総務や人事の業務改革の仕事に携わる機会を何件か得た。
そして中小企業組織内部の実際は、
「適切な人材確保が困難である中で悪戦苦闘の毎日」であるということ目の当りにしてきた。
私自身は経営者・上長・担当者から証言を得ながら現場に出て確かめたところ、
下記のようなことが多々見受けられた。
当然のことながら大きな会社のような縦割り組織とはいかないだけでなく、
組織として成り立っていないケースが多い(立派な組織図があっても機能がなされていない)。
業務適任者でないはずの人がいつまでも慣れない業務の掛けもちまでしていたり、
長年にわたる古株の業務抱え込みによるノウハウのブラックボックス化で後輩の人材が育たないケースも多い。
(但し、スキルがあって長年にわたって勤務してもらえる担当者は基本的に会社から重宝される)。
社是・経営理念・経営計画等がない中でのブレ続ける組織の一枚岩になれない状況、
経営側から要件書が示されない中の社員へ出たとこ勝負の処理業務で一日謀殺される
(経営理念や社是が明文化されていても誰も守られていない、また実際にできてない状況の会社もあった)。
上記のようなことが続く中でせっかく縁あって入社したにも関わらず、
現実に絶望して自らの将来を描けない社員たちが次々と去っていく。
では、上記のような状態から中小企業のおいて個人や組織は本当に変われるのだろうか?
私自身が実際に経営者の方または中小企業へ提案してきたのは、
会社の未来または経営者が目指す方向を少しでも棚卸・明文化・計画書にまとめた上で
社員に示すことと社員一人ひとりへどうしてほしいのかどうなってほしいのか、
年1回でいいから面談して思いを伝える機会を作るということ。
その理由は経営者または会社側が去ろうとする人へ真剣に説得することで、
人情の部分で思いとどまるケースがあったからである。
その他に立派な経営計画策定や人事制度改革着手も実際にすることも必要であるが、
そんな時間と予算に余裕がないのが現実である。
専門家(プロフェッショナル)の側としては後者で行きたいのが本音ではあるが、
状況に応じてすべき対応をすることも忘れてはいけない。
少なくとも、前者のことは試みることはできる範疇なのではなかろうか。
ほんの少しでも変わるきっかけを作ることが今大切なことかもしれない。
【 この記事の専門家 】Koffice柴田和季