中小建設業の『脱!どんぶり勘定』の補佐役 服部正雄です。
2022年専門家紹介ネットシェアマガジンに初投稿させていただきます、
少しでも購読者の皆様にお役に立てれば幸いです。
今回は、地方の中堅ゼネコンさんでのお話です。
経営内容の良好な年商100億規模のお客様です。
10月決算で11月から1月迄の試算表が赤字になっている、売上高が落ちた訳でも無く確認して欲しいとの依頼がありました。
内容を確認させて頂きますと、10月末の決算時に計上された、未成工事支出金の間接配賦金7千万位が10月に取り崩されていました。
従って10月末の未成工事支出金の決算額より1月末は7千万少なくなり、会計上は完成工事原価が多く計上された為3ヶ月の成績は赤字になった事の理由です。
原因は分ったので、間接配賦金のご説明をさせて頂きました。
経理の方も内容をご理解されて無かったようです。
読者の方にもご理解頂ければと、訪問先で話した内容をかいつまんで記入させて頂きます。
決算時の未成工事支出金には工事毎に直接支払った、外注費や材料費等は原価ソフト等で把握されておりますが、未成工事支出金にはこれら直接の原価以外に、現場担当者の人件費や直接原価を特定できない仮設材料費や減価償却費等間接的な原価があります。
これら間接原価を一定の配賦基準によって未成工事支出金の間接配賦額が、仕掛工事に加算される訳です。
この会社では10月末に7千万加算された訳です。
この配賦基準は正直沢山の中小建設業を見ている私からすれば、決算時の見せかけの利益と思っています。
つまり現場担当者の給与は支払った時に経費になる訳です。
その経費を一定の配賦基準で経費⇒棚卸資産の加算になり、決算時原価が下がる為見せかけの利益が増える訳です。
私からすれば、税理士さんによって計算方法はバラバラで、会計基準の計算方法はあるのでしょうが、極端に言えば未計上のままの税理士さんも存在します。
つまり、税務署からすれば、一定の同じやり方が続いていれば問題ないようです。
利益の調節に多く計上したり少なく計上する事は修正申告の対象になります。
又業種や事業内容にもよるのでしょうが、全く0円は拙いように思います。
建設業特有の処理ですので、調査で指摘を受ける迄ご存じ無い先生も見えるのではないかと思う位です。
話を戻しますとこの7千万の金額処理ですが、今期末迄そのまま7千万を未成工事支出金に据え置いておけば、今回のような事は発生しません。
そこで来年の10月末時点の計算が8千万だった場合には、又見せかけの利益が1千万加算される事になります。
又逆に5千万だった場合には2千万見せかけの利益が減る事になりますが、差額で決算時に振替実施した方が当期の経営成績の把握にはベターではないかとお話しました。
又は毎月この計算をすれば、毎月の経営成績が出る訳ですが、面倒なので税理士さんは決算時しか実施されません。
会社の中で決算時の計算方法を学ばれて毎月実施される事も良いですが、結論的には決算時に又変わるので、決算予測等の観点からは7千万据え置き方式が現実的ではないかと思います。
くどいですが、見せかけの利益や損失の話ですので、担当者が利益の向上を目指して実行予算管理や原価管理で粗利益アップを目指すお手伝いをしている私から見れば、次元の違う話です。
コロナ関連だけでなく今やるべきことがたくさんあります、専門家紹介ネットを通じてお問い合わせいただけましたら、無料相談を承ります。
特に中小建設業経営者の皆様ご相談お待ちしております。
【 この記事の専門家 】中小建設業の『脱!どんぶり勘定』の補佐役 服部正雄