中小建設業の『脱!どんぶり勘定』の補佐役 服部正雄です。

2024年度専門家紹介ネットシェアマガジンに8回目の投稿をさせていただきます。

少しでも購読者の皆様にお役に立てれば幸いです。

今回のタイトルは、決算書の読み方リクエストです。

数字の苦手な社長から決算書の読み方を教えて下さい。と言うオーダーが入りました。

一般的な会計のお話ではなく建設業の経営者に理解頂きたい内容を中心にお話を致しました。

その内容をお伝えします。

会社設立5年乍ら年商5億円位の若い専門工事会社の社長です。

決算書を持参されて意気込みも感じられました。

会社の財務諸表は大きく分けて3つあります。(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)

先ずは貸借対照表、これは決算時の会社の財政状態を表示します。

従って会社が始まってからの蓄積された数値です。

大きく分けて資産の部(会社の全ての財産が資産に表示。

又調達した資金の使い道と説明しました)この財産の調達先が負債の部(買掛金や借入金等つまり将来支払いが必要な他人の金)と純資産の部(資本金+毎年の利益剰余金支払いが不要な金つまり自分の金)に分かれています。

毎年の税引後利益が剰余金になりますので、税金を払う事が嫌な社長は増加し難いです。

沢山の分析指標がありますが、安全性を見る指標をご紹介します。

純資産の部÷資産の部合計=自己資本比率(30%以上が合格と言われています)本来の資産に表示されている数字と実際の評価額の違いを確認する事が必要です。

建設業では値引き処理や相殺処理されていても会計処理が未実施で売掛金に残ったままの会社さんもよく拝見します。

又未成工事支出金の内訳が決算時だけ拾うケース等正しく表示されていない会社も多く拝見します。

税理士さんでは分からない数字です。

会社で正しく管理する事が重要です。

又未成工事か完成工事かの判断基準も決算の数値に大きく変動する要因です。

資産の部よりも負債の部が多い場合(純資産の部がマイナス)債務超過と言います。

(非常にヤバイ状況です)こう言った会社は早急に改善が必要ですし債務超過の経営者は自社がヤバイ状況である事を自覚すべきですが分っていない経営者が多い事も事実です。

2つ目は損益計算書です。

これは1年間の売上-総経費=利益(1年間だけの数字です、又前号でご紹介しましたが沢山の利益項目があります。

最後の税引後利益が貸借対照表の純資産に蓄えられます)

貸借対照表とは違い、幾ら赤字でも新年度からは0スタートです。

此処の利益を増やす為に工事毎の粗利益向上が建設業では最重要と思っています。

重要な事は会計科目に集約されて分かり難いですが、売上高-変動費=工事利益(限界利益)・工事利益-固定費=営業利益(本業の利益)従って工事に直接掛かる経費(仕入や外注費等=変動費)と工事が減っても掛かる経費(固定費)と分ける考え方です。

大事な事は『工事利益>固定費』です。

反対の場合は『工事利益<固定費』は赤字を表します。

3つ目がキャッシュフロー計算書です。

現金預金の残高が前年に比べて増減が表示され、増減理由が分かります。

経営者にとって大事な指標ですが、残念な事に多くの建設会社では未作成です。

理由は上場会社以外提出が義務付けられていない事だと思います。

(簡単に作れるのに・・・残念です)キャッシュフロー計算書は、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローと財務キャッシュフローの3つの増減の合計が1年間のキャッシュの増減で表示されます。

営業キャッシュフロー(本業で実際に稼ぎだしたお金)

(例)売上が増えて利益が増えてもお金が回収されていなければ(期末に売掛金残高が増加すれば)キャッシュフローはマイナスになります。

従って取引先との契約時に出来高回収(未成工事受入金)の早期化や売掛期間の早期化等、又協力業者への支払いも当月払い、翌月払い、翌々月払いでキャッシュフローは大きく変わります。

経営者が理解すべき話をさせて頂きました。

投資キャッシュフロー(機械の購入や売却等投資活動によるお金の増減)

(例)機械を購入した場合投資キャッシュフローはマイナスです。

逆に売却した場合にはプラスになります。

利益と金の流れは別になります。

財務キャッシュフロー(借入金の増減等によるお金の増減)

(例)銀行から借入金が発生した場合にはキャッシュは増え逆に返済した場合にはキャッシュが減ります。

『借入金を返済したのでお金が無くなる=赤字』と勘違いされていた社長が本当に存在しました。

損益(儲け)の話しとキャッシュの動きは別の話です。

手元のお金が何故減ったのか?(仕事は忙しく、売上も利益も上がったのにお金が残っていない等の理由が分かります)

手元のお金が何故増加したか?(キャッシュの増加金額以上に借入金が増加している事もあります)自社の話ですので経営上必要です。

黒字倒産と言う言葉もあります。

又どんなに赤字でも、キャッシュがあれば会社は倒産しません。『入金>出金』

キャッシュフロー計算書が無い建設会社はこの機会に税理士先生に作成を依頼される事をお勧めします。

この社長にお話した内容を掻いつまんで記載させて頂きました。

この社長自分から学ぶ気持ちがありました。

将来有望な経営者だと思いました。

更に経理は苦手と思う社長は沢山見えますがこの話は経理ではなく経営の範疇です。

理解しなければとお考えの社長は是非ご相談下さい。

特に上記のようなことで心当たりのある中小建設業経営者の方へ、専門家紹介ネットを通じてお問い合わせやご相談お待ちしております。

【 この記事の専門家 】中小建設業の『脱!どんぶり勘定』の補佐役 服部正雄

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