中小建設業の『脱!どんぶり勘定』の補佐役 服部正雄です。
2024年度専門家紹介ネットシェアマガジンに1回目の投稿をさせていただきます。
少しでも購読者の皆様にお役に立てれば幸いです。
今回のタイトルは、建設業の売上高の計上方法は2つありますです。
一般的な工事完成基準とは、工事の完成お引渡し時点で売上高(完成工事高)として収益が認識される基準です。
10月末に完成して仮に翌年1月に工事代金が入金になった場合も10月が売上高の計上になります。
期中に入金時に売上計上をされる会社では決算月に工事が完成している場合の売上計上等注意が必要です、
税務調査等で売上高の計上漏れとして追加徴税される事もあります。
もう一つ工事進行基準があります。工事進行基準は工事の進行度合いによって収益を認識する経理方法です。
長期大型工事(請負額が10億円以上で工事期間が1年以上)の場合は工事進行基準の強制適用となります。
請負金額×工事進捗率が当該年度の売上です。
但し2年目以降に計上する場合には前期以前に計上済の売上高はマイナスします。
工事進行基準適用の要件が3つあります。
①工事収益総額の信頼性
②工事原価総額の信頼性
③決算日における工事進捗度の信頼性です。
例えば20億円の請負金額の工事で原価見込みが80%
粗利益率20%の場合に初年度50%の進捗率で決算をした場合には
売上高10億円 原価8億円 粗利益2億円となります。
しかし次年度の売上高10億円 原価が9億円の場合には粗利益1億円となり、完成基準ですと20億円粗利益率15%粗利益額3億円になります。
明らかに3つの要件を満たしていません。
従って将来上場を目指す会社や長期大型工事の受注をする会社では、実行予算管理や原価管理を正しく把握する事は必須です。
正しい請負額-正しい工事原価=正しい工事の粗利益です。
正しい利益の把握が建設会社の生き残りに不可欠と思います。
しかし実際にある専門工事の年商10億位の会社で起きた安易な原価管理の会社での事例です。
請負金額は決定済ですが決算時に社長の一言から問題が起きました。
それは経営審査等から今期の完成工事高が予想より少ない為急遽在る工事を工事進行基準で完成工事高に加算するように指示がありました。その時の数値の事例です。
9月決算と致します。合計1億円の請負金の工事です。
本来であれば9月末決算時の未成工事受入金6千万
未成工事支出金6500万となりますが社長の号令でこの6千万を完成工事高に計上致しました。
又工事進行基準の適用原則の把握は未達の為決算上6500万が完成工事原価に振替です。しかし出来高支払の把握も未熟で支払いが先行の為決算時の工事利益は赤字となります。
今期 6000万完成高 6500万完成工事原価 △500万赤字
翌期 4000万完成高 1000万完成工事原価 3000万黒字
合計 1億円完成高 7500万完成工事原価 2500万黒字
25%の工事利益率の工事ですが、前期赤字500万今期黒字3000万となり今期の決算時に利益過少申告で税務調査上問題になりました。
本来6000万の75%4500万が完成工事原価
決算時1500万工事利益、6500万-4500万=2000万が
未成工事支出金で計上されれば翌期4000万完成工事高
2000万+1000万=3000万完成工事原価差額1000万が
翌期の工事利益計上となれば正しい利益管理となり税務調査でも問題視されません。
又多くは利益も多く出したい為上記事例と逆な結果となれば本来は間違っていても税金を先に払う事になり税務調査等では余り問題視されません。
この様に出来高完成基準を採用の場合には正しい予算管理=支出管理が必要になります。又1物件10億以上、工期1年以上の工事を施工される場合と同様に、ご注意頂くと共に工事利益の把握等レベルアップが必要です。
建設業経営をしていく中で社長としての身構えやトップとして意思決定しないといけないことがたくさんあります。
特に上記のようなことでお困りの中小建設業経営者の方へ、専門家紹介ネットを通じてお問い合わせやご相談お待ちしております。
【 この記事の専門家 】中小建設業の『脱!どんぶり勘定』の補佐役 服部正雄
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