【直近20年の変化は激しい】

 40年以上も前の話しですが、当時、理科の先生から、近い将来「壁掛けテレビが誕生する」と聞いて、非常に驚いた記憶があります。壁掛けテレビとは、今では当たり前の「液晶テレビ」を指していた訳ですが、ブラウン管テレビがまだ主流だった時代・・・そのときには、まったく想像できませんでした。

 私が社会人になった頃、まさにコンピュータの黎明期であり、オフィスの効率化を図るための「オフィスコンピュータの台頭」が始まって、それまでの社会が大きく変わろうとしていました。企業にはCOPYやFAXがどんどん導入され、それらを総称して「オフィスオートメーション化」と呼び、新しい時代の幕開けでした。

 コンピュータの世界では、その後も技術革新が進み、やがてパーソナルコンピュータが主流となり、通信インフラの整備とともに社会を席巻し、さらにインターネットの登場で従来とは大きく異なる時代を迎えました。変化し続けた結果、今ではモバイル端末がメインツールとなり、持ち運びが自由なことから、ビジネスの進め方などに変化が見られるようになりました。これらは、まだここ20年位の出来事であり、世の中の変化が目まぐるしいことに気づきます。

 今では、iPadやスマートフォンなどモバイル端末を利用することで、必要とする文字や映像、音の情報を「いつでも・どこでも」瞬時に入手可能となり、明らかに消費者(顧客)主導型の社会となっています。昔のように企業からの一方的な情報発信だけでは消費者(顧客)に受け入られず、逆に消費者(顧客)が自分に合った「商品やサービス」を独自に見つける時代です。いわゆる「インバウンドマーケティング時代」への突入となりました。

【昔からの教えを大切にしたい】

 新しいマーケティング手法が登場するたび、社会は一種のブームとなり、それらをテーマとしたセミナーなどは満席状態で、参加者は何かと新しい手法を習得しようと必死です。そんな彼らの姿を見て、なぜか違和感を覚える人がいることでしょう。私もそのひとりですが、個人的には「昔の時代から引き継がれている教え」の中に、ビジネスを改善させるためのヒントが必ず隠されていると考えています。

 私が好きな教えのひとつとして「顧客資産の考え」があります。本来、「ビジネスとは顧客と長期に渡って取引関係(信頼関係)を継続しなければならない」ものであり、「売り手良し・買い手良し・世間良し(三方良し)」がその軸となっています。ポイントは「資産」という言葉。やはり、ビジネスは関係する人たち全員をハッピーな気持ちにさせて、そのような人たちを少しずつ「積み上げていく」ことが一番大切です。

 あなたがビジネスに迷いを感じたとき、昔からの教えを常に思い出し、間違った方向へ進まないよう軌道修正してください。「昔からの教え」・・・それは、これからどんな時代を迎えても、決して色褪せることのない、先人たちからの素晴らしいメッセージです。

【 この記事の専門家 】ベネフィット・ラボ 大久保 久明